これまで独自の音楽観で才能あふれる楽曲を生み出し続けてきた椎名林檎さん。
一見すると孤高のアーティスト、のようにも思えてしまう椎名林檎さんですが、コラボ作品も数多く存在します。
椎名林檎さん自身が尊敬するミュージシャンとのコラボや、椎名林檎さんを尊敬する若手ミュージシャンとのコラボなど、コラボ相手は多岐にわたります。
また、女優さんなどへの楽曲提供も積極的に行っています。
この記事ではそんな椎名林檎の「他アーティストとのコラボ」に着目し、解説していきます。
自作品でのコラボ
まずは椎名林檎自身の楽曲におけるコラボについて解説していきます。
コラボ楽曲一覧
曲名 | アーティスト | 参加内容 |
罪と罰 | 浅井健一(BLANKEY JET CITY) | ギター |
流行 | Mummy-D(RHYMESTER) | ラップ |
獣ゆく細道 | 宮本浩次(エレファントカシマシ) | ボーカル |
駆け落ち者 | 櫻井敦司(BUCK-TICK) | ボーカル |
神様、仏様 | 向井秀徳(ナンバーガール、ZAZEN BOYS) | ボーカル |
長く短い祭り | 浮雲(東京事変、ペトロールズ) | ボーカル |
急がば回れ | ヒイズミマサユ機(東京事変) | ボーカル |
目抜き通り | トータス松本(ウルフルズ) | ボーカル |
浪漫と算盤 | 宇多田ヒカル | ボーカル |
●「罪と罰」では椎名林檎があこがれていたという浅井健一がギターで参加。
「『罪と罰』は絶対浅井さんにギター弾いて欲しかった」とのことで、ギターパートのみを外して収録したデモテープとこの曲に対する気持ちと自身の電話番号を書いた手紙を同封して浅井健一に送ったというエピソードも。
●アルバム「三毒史」では一曲ごとにデュエット曲が収録。宮本浩次やトータス松本といったビッグネームとのコラボも。
●「浪漫と算盤」では椎名林檎とともに日本を代表する女性ミュージシャンの一人、宇多田ヒカルとコラボ。
椎名林檎と宇多田ヒカルの関係性についてはこちらの記事で詳しく解説いています。
獣ゆく細道:宮本浩次(エレファントカシマシ)
コラボ楽曲の中でも特に鮮烈な印象を残したのがこの「獣ゆく細道」です。
エレファントカシマシ・宮本浩次の強烈なキャラクターを活かしつつも、お互いの個性を引き出しあったような楽曲です。
ライブでのパフォーマンスもただただ圧巻というばかり。
椎名林檎のファンはマナーの良さでも知られており、ここまで異様な盛り上がり方をするのはかなり珍しい光景です。
椎名林檎は以前からエレファントカシマシのファンであることを公言しています。
英語の曲ばかり聞いていた時期でもエレカシの曲だけは聞いていて、「エレカシの『風に吹かれて』という曲を聞いて、日本語の歌詞の美しさにも気づいた」というような発言も。
また、椎名林檎はこのコラボについて、以下のようなコメントを残しています。
日本文化を継承してゆくうえで、音楽業界が抱える重要課題。そのうちの一つに、宮本浩次という銘楽器いかに伝えてゆくべきかというものがあります。
EIGHT-JAM|テレビ朝日 (tv-asahi.co.jp)
ビンテージの味わい深い響きを聞かせてくれるうちに、エレキサウンド以外の様々な編成の曲でも、記録すべし。これは、かなりの作家や演奏家の胸中にある共通課題でした。が、同時に、愛すべきエレファントカシマシの道を汚す恐れから、皆、なかなか口火を切れないところがありました。
2017年の紅白歌合戦へお邪魔した際、宮本浩次氏へご挨拶申し上げ、翌年のエレファントカシマシのご予定などを伺いました。そして、2018年中には椎名が悪役を買って出ることになりそうだとぼんやり感じました。「来年曲を書くので唄ってください」「はい」というほどの、ごく簡素なやり取りがあったように記憶しています。
宮本浩次・エレファントカシマシへの強いリスペクトが感じられます。
コラボ相手へのリスペクトがあるからこそ、こんなにも素晴らしい作品が出来上がるのでしょう。
他アーティストの作品への参加
参加楽曲一覧
アーティスト | 発売年 | 収録 | 楽曲 | 参加内容 |
---|---|---|---|---|
谷口崇 | 1998 | becoming | 「becoming」 | コーラス |
「Rock & Hammer」 | ||||
ハートバザール | 1999 | バオバブ | 「白い夢」 | ピアノ |
椎名純平 | 2002 | discover | 「WHERE IS THE LOVE」 | デュエット |
ZAZEN BOYS | 2004 | ZAZEN BOYS II | 「CRAZY DAYS CRAZY FEELING」 | コーラス |
「安眠棒」 | ||||
MO’SOME TONEBENDER | 2005 | Rockin’ Luuula | 「ロッキンルーラ」 | ピアノ、コーラス |
「マッシュポテト・ブギー」 | カズー | |||
浅井健一 | 2006 | 危険すぎる | 「危険すぎる」 | コーラス |
マボロシ featuring 椎名林檎 | 2006 | マボロシのシ | 「あまいやまい」 | ボーカル、作詞曲 |
SOIL&”PIMP”SESSIONS | 2000 | 6 | 「MY FOOLISH HEART 〜crazy on earth〜」 | ボーカル、作詞 |
レキシ featuring Deyonná | 2011 | レキツ | 「きらきら武士」 | ボーカル(Deyonnáとして参加) |
TOWA TEI | 2013 | LUCKY | 「APPLE」 | ボーカル |
冨田ラボ featuring 椎名林檎 | 2013 | Joyous | 「やさしい哲学」 | ボーカル、作詞 |
冨田ラボ featuring 原由子、横山剣、椎名林檎、さかいゆう | 「都会の夜 わたしの街」 | ボーカル | ||
「この世は不思議」 | ボーカル | |||
ホセ・ジェイムズ featuring 椎名林檎 | 2014 | While You Were Sleeping | 「明日の人」 | ボーカル、作詞 |
宇多田ヒカル featuring 椎名林檎 | 2016年9月28日 | Fantôme | 「二時間だけのバカンス」 | ボーカル |
millennium parade × 椎名林檎 | 2023 | W●RK/2◯45 | 「W●RK」 | ボーカル、作詞 |
「2◯45」 | ボーカル、作詞 |
二時間だけのバカンス:宇多田ヒカル
椎名林檎コラボ曲を語るうえで外せないのが宇多田ヒカルの「二時間だけのバカンス」です。
二人はともに1998年デビューの同期で、日本の音楽シーンを引っ張ってきた存在。
そんな二人のコラボは発表当時から大きな話題になりました。
「二時間だけのバカンス」は宇多田ヒカルが活動休止から復帰後初のアルバム「Fantome」に収録されたもの。
そんな背景もあり、椎名林檎は以下のようにコメントしています。
最愛のお母様を亡くした彼女へあれこれせがむことはできなかったけれど、パートナーを得、遂には母となった彼女になら、ずっと我慢してきた思いを正直にぶつけてもいいような気がしたのである。
だって東京の巷には、やっぱり彼女の声がよく似合う
宇多田ヒカル&椎名林檎が新曲デュエット 伝説“EMIガールズ”初共演MV公開 | ORICON NEWS
やはり椎名林檎が相手のことを理解し、リスペクトしていることがうかがえます。
すでに超有名なアーティストの一人でありながら、他人へのリスペクトを持ち続けることができる、というのも椎名林檎という人間の魅力の一つなのでしょう。
W●RK:millennium parade(常田大希)
近年大きな話題となったのがmillennium paradeとの「W●RK」。
この曲は2023年4月1日に配信リリースされ、アニメ『地獄楽』のオープニングテーマに起用されました。
実は2人の交流歴は長く、最初のきっかけはデビュー以前の常田のライブに椎名が訪れたことであったという。
椎名林檎公式サイトでは以下のような解説が。
常田氏は、以前より椎名林檎への多大なリスペクトを持ち続けており、彼のデビュー前となる20歳前後から、椎名にデモ曲を送って聴いてもらったりと、交流を続けきたそう。そんな二人によるコラボレーションが、このたびついに実現の運びとなりました。
https://www.kronekodow.com/news_detail.php?id=7463&r_page=9
いわば”先輩“の宮本浩次とのコラボや”同期“宇多田ヒカルとのコラボを経て、椎名林檎を尊敬する”後輩“の常田大希とのコラボに至った、というような感じでしょうか。
ここからはあくまで個人的な感想、憶測にすぎませんが、
W●RKのミュージックビデオは「表舞台から退き、裏方に専念しようとする椎名林檎を常田大希がステージに連れ戻す」というストーリーのように見えます。
ご本人的には望ましいことではないもかもしれませんが、正直個人的には椎名林檎さんにはまだまだ表舞台に立ち続けてほしいと思ってしまいます。
常田さん、頼みます。。
楽曲提供
提供楽曲一覧
発表 | 曲名 | アーティスト | 収録 | 参加内容 |
---|---|---|---|---|
1998年 | プライベイト | 広末涼子 | Private | 作詞・作曲 |
1999年 | カプチーノ | ともさかりえ | むらさき。 | 作詞・作曲 |
木蓮のクリーム | 作詞・作曲 | |||
シャンプー | 作詞・作曲 | |||
2000年 | 少女ロボット | シングル | 作詞・作曲・編曲 | |
いけない子 | シングル | 作詞・作曲・編曲 | ||
日本(にっぽん)に生まれて | シングル | 作詞・作曲・編曲 | ||
2008年 | 雨傘 | TOKIO | 17 | 作詞・作曲・編曲 |
渦中の男 | シングル | 作詞・作曲・編曲 | ||
2009年 | 都会のマナー | ともさかりえ | トリドリ。 | 作詞・作曲・編曲 |
子供の情憬 | 作詞・作曲・編曲 | |||
日和姫 | PUFFY | Bring it! | 作詞・作曲・編曲 | |
主演の女 | 作詞・作曲・編曲 | |||
2011年 | おいしい季節 | 栗山千明 | Circus | 作詞・作曲・編曲 |
決定的三分間 | 作詞・作曲・編曲 | |||
月夜の肖像 | 作詞・作曲・編曲 | |||
青春の瞬き | 作詞・作曲・編曲 | |||
2012年 | 真夏の脱獄者 | SMAP | Gift of SMAP | 作詞・作曲 |
2013年 | 幸先坂 | 真木よう子 | シングル | 作詞・作曲 |
2014年 | 暗夜の心中立て | 石川さゆり | X -Cross II- | 作詞・作曲 |
名うての泥棒猫 | 作詞・作曲 | |||
最果てが見たい | 作詞・作曲 | |||
2015年 | 華麗なる逆襲 | SMAP | SMAP 25 Years | 作詞・作曲 |
野性の同盟 | 柴咲コウ | シングル | 作詞・作曲・編曲 | |
2016年 | 薄ら氷心中 | 林原めぐみ | シングル | 作詞・作曲・編曲・ボーカルディレクション |
我れは梔子 | シングル | 作詞・作曲・編曲・ボーカルディレクション | ||
2017年 | 今際の死神 | シングル | 作詞・作曲 | |
命の息吹き | シングル | 作詞・作曲 | ||
おとなの掟 | Doughnuts Hole | シングル | 作詞・作曲・編曲 | |
2019年 | 宇宙の記憶 | 坂本真綾 | シングル | 作詞・作曲・編曲 |
2022年 | 行方知れず | Ado | 配信シングル | 作詞・作曲・編曲・ボーカルディレクション |
青春の続き | 高畑充希 | 配信シングル | 作詞・作曲・編曲 | |
2023年 | 本音と建前 | Sexy Zone | シングル | 作詞・作曲・編曲 |
これまで数多くの楽曲提供を行ってきた椎名林檎。
提供した楽曲はその後アルバムやライブでセルフカバーすることも少なくありません。
行方知れず:Ado
最近ではAdoさんに提供した「行方知れず」が大きな話題になりました。
Adoさんは椎名林檎のカバー動画をいくつもあげるなど、椎名林檎ファンとしても有名でした。
椎名林檎とAdoのお互いへのコメントはこちらの公式サイトで確認できます。。
椎名林檎からAdoに対しては以下のようなコメントも。
二十五年前、拙作無罪モラトリアムを出してしまう前にこの響きに出会せていたら、ぜんぶ彼女に歌ってもらっただろうとも思います
SR 猫柳本線 | 椎名林檎・東京事変オフィシャルサイト (kronekodow.com)
椎名林檎にここまで言わせるAdo、やはり彼女もただものではありませんね。
最新アルバム「放生会」でのコラボ
2024年5月、最新アルバム「放生会」がリリースされました。
その中で、7人の女性ミュージシャンとのコラボ曲が収録されています。
こちらに関しては、詳しくは以下の記事で解説しています。
まとめ
椎名林檎の他アーティストとのコラボ作品についてまとめました。
藤井風を始め、椎名林檎に影響を受けたと公言するアーティストはまだまだたくさんいますから、今後のコラボ作品にも期待ですね!
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