話題のNetflixシリーズ「地面師たち」。
不動産詐欺を行う「地面師」の犯罪を描くドラマですが、実はこの作品にはモデルとなった事件があるのです。
この記事ではモデルとなった「積水ハウス地面師詐欺事件」について詳しく解説します。
地面師たちの元ネタが気になる方はぜひ最後までご覧ください!
積水ハウス地面師詐欺事件とは
事件の概要まとめ
積水ハウス地面師詐欺事件は2017年に発生した日本最大級の地面師詐欺事件です。
詐欺の内容は、
地面師グループが土地の所有者に成りすまして売却を持ち掛け、多額の購入代金をだまし取る、というもの。
いかがでしょう。本当にドラマと同様の手口なのです。
被害総額は63億円!?
この事件でだまし取られた金額はなんと63億円です。
ドラマでは100億円の詐欺でしたが、現実でも同レベルの金額が動いていたことに驚きですね。
詐欺に使われた物件・土地はどこ?
事件の舞台は山手線五反田駅から徒歩3分の旅館・「海喜館(うみきかん)」でした。
土地面積は約600坪。
周囲に高層ビルが立ち並ぶ中、時代に取り残されたような、不動産業界ではねらい目の土地だったといいます。
こちらが詐欺事件が発覚した直後の海喜館の実際の写真です。
「地面師たち」第1話の詐欺に利用された物件とどこか雰囲気が似ている感じもしますね。
やはりこういった面も、リアリティのある作品と言えそうです。
ドラマでの再限度はどのくらい?
全体の再限度は6~7割
当時この事件を取材し、主犯格の男にも肉薄したテレビ朝日社会部・石塚翔さんによると、
「6~7割は実際に起きたことをベースにしており、残りはドラマ用に誇張されたもの。かなり現実に沿って作っている印象だ」
とのこと。
衝撃的な内容のドラマしたが、半分以上が実際に起きたこと、というのはさらに衝撃的ですよね。
実際の地面師とはどんな人物たち?
同・石塚翔さんは実際の地面師について以下のように語っています。
地面師は分業制で、計画を立案する『統括役』、現場を主導する『コントロール役』、『なりすまし役』とそれをスカウトする『手配師』、不動産業者と詐欺師をつなぐ『仲介業者』、パスポートや印鑑証明など書類を偽造する『道具屋』、騙し取った金の流れを分かりにくくする『銀行屋』など、その道のプロたちが集まって行われる。
モデルとなった事件では逮捕者が15~17人で、ドラマの設定よりも大きな集団だった
地面師は分業制であり、その辺りはドラマでも再現されていました。
ですが実際にモデルとなった事件では逮捕者が15~17人と、ドラマの地面時グループの3倍以上の規模であったことが分かります。
きっと現実の詐欺師たちは、ドラマで描かれた以上に入念な準備を行って詐欺に臨んだのでしょう。
なぜ詐欺を見抜けなかった?
ライバル会社に物件を取られる焦り
先述した通り、事件が起きた旅館は都心にぽっかりと空いた、不動産業者にとっては魅力的な物件でした。
地面師に騙されてしまった最大の理由は、「この土地をライバル会社に取られてしまう」ことへの焦りです。
ドラマでも、地面師たちは不動産会社の焦りにつけ込む作戦を取っていましたね。
取引に必要な書類はそろっていた
いくら焦りがあったとはいえ、詐欺にあったのは積水ハウスほどの大企業。
売り主の本人確認などはしっかりと行わなかったのか?という疑問が残ります。
しかし、そこが地面師たちの周到なところ。
免許証なども含め、契約に必要な書類はすべて完璧に偽造していたのです。
ドラマで行われていたように、免許証のICチップに裏から光を当て、すかして確認を取るなど、積水ハウス側としても書類のチェックは怠りませんでした。
それでもなお騙されてしまうほど、完成度の高い偽造書類を地面師たちは作り上げてきたのです。
旅館の持ち主本人は何をしていた?
事件の現場となった旅館には持ち主だった当時70代の女性が住んでいました。
彼女が健在で、取引現場に立ち会うことができればこの詐欺は不可能だったでしょう。
しかし、彼女は事件の3カ月前から体調を崩し入院していたのです。
地面師たちはこのタイミングを狙い、「『なりすまし役』を手配」「都内の不動産会社に『土地を売りに出す』という情報をばらまく」という作業を進めたのです。
持ち主が不在のタイミングを狙う、という手口はドラマとも共通していますね。
まとめ
Netflixシリーズ「地面師たち」の元ネタ・積水ハウス地面師詐欺事件についてまとめました。
この事件以降、売却者の本人確認はより厳しくなったとのこと。
ドラマが有名になったことも、今後の詐欺の撲滅につながると良いですね。
それではまた。